2002年 秋 旅行記
― シチリア・ローマ篇 ―


<第1日目>

 今回のCARAVAGGIO追っかけの旅は、出国前からひと波瀾。まさかエトナ火山が爆発してカターニャ空港が閉鎖になるとは思わなかった。ツーリストの担当者は、行ってみないとわからないですねぇ…と言うし(^^;。出国当日の空港カウンターで、平常通り運行していると聞き、ほっとする。私の日頃の行いは良いはずだもの(自爆)。

 機内誌がナポリ特集を組んでいた。当然カポディモンテ美術館がど〜んと載っている!パウルス3世を中心とするファルネーゼ家の肖像画…即ちティツィアーノ作品だ。そうだ、確かにこれは凄い作品群だったなぁ…と改めて見入ってしまった。で、頁をめくればCARAVAGGIO(笑)。ミゼリコルディア教会の「慈悲の七つの行い」がアップで載っている。ペロの物語の拡大だ。イタリア着の前にすでに盛りあがってしまう(笑)。更に、偶然隣席の二人のご婦人はマルタにいらっしゃるとのこと。聖ヨハネ大聖堂の「洗礼者ヨハネの斬首」の宣伝までしてしまった(^^;;。

機内誌はナポリ特集だった...カポディモンテ美術館のファルネーゼ・コレクション 
パウルス3世、ファルネーゼ家の甥達.... 豪勢にもティツィアーノですよ〜(^^)


 さて、ミラノ経由で夜遅くにシチリアはエトナ火山の麓、カターニャ空港に無事到着。ここで、あせったのがバッゲージ。ターンテーブルから出てこない〜(・・;)。ダブリン空港のいやな記憶が蘇る….。カウンターに行くと、隣の部屋の「other」バッゲージを見ろと言う。十数個並んでいるのをざっと眺める。無い!!蒼ざめて書類を書いていると…担当者がもう一度隣の部屋に来いと言う。一番端の大きなバッゲージの所に連れて行かれた。何とその隣に隠れて…ありました(^^;;;。すまんです、係りの方々…m(__)m。もう、最初から波瀾含みだ。しかし私は、これは「見たままではなく、隠されたものも探れということだ」と気を取り直したのであった。絵画を見る時には特にね。はは…健気にも前向きだと思わない?(^^;;

 ホテルへと向うタクシーの運転手は人の良さそうなおじさん。夜の中心街を通り抜けながら、ここはドゥオモ。ここはベッリーニ公園…と教えてくれる。カターニャは当夜1泊で観光の時間も無いので嬉しかった。


<第2日目>

 朝9時過ぎ、ホテルを出る。カターニャからタオルミナへの移動だ。あの映画「グランブルー」が撮影された「カポ・タオルミナ」に宿泊予定だ。ホテルからカターニャ駅に向うタクシーの運転手に、列車とバスとどっちを薦めるか尋ねると、バスの方が良いとのこと。切符売り場や発車バスの番号やら親切に教えてくれた。バス移動は大当たりで、料金も安いし、荷物の移動も楽だ。しかも、乗客が親子連れ4人と私だけ(笑)。

 天気は晴れ。暑いくらいの南国の空が広がる。しかし…ある方向から雲が湧き出てくるのだ….。が、実は、それは雲ではなくエトナ山の噴煙だった!バスの車窓から見るカターニャの街は火山灰で煤けている。道路にも、車の屋根にも黒ずんだ灰がうっすらと積もっているのだ。商店では店の前を箒で掃いている。多分、ずっと昔からこの街の人々はエトナ山という自然と折り合いをつけながら生活してきたのだろうな。バスの親子連れの子供達が花粉症用マスクをしていたのも合点がいった。実は火山灰用の防塵マスクだったのだ(^^;;。

 エトナ山の向うにタオルミナはある。山の裾野を上って行く車窓に、南国の青い空と、緑のオリーブ園、檸檬園が広がる。南国の陽射しが原色の風景にまとめあげる。なだらかな稜線を描くエトナ山に近づくと、4箇所から噴煙が上がっているのが見えた。噴火はもう収まったようだ。山を上るに連れ岩肌も見えてくる。荒涼としたマルタ島の風景にどことなく似ているようにも思われた。


カポ・タオルミナのプライヴェート・ビーチ



映画「グランブルー」にでてきたプール
   カターニャからタオルミナまでは約1時間。車窓からイオニア海の穏やかな青い海が見えてきた。そこはあのグランブルーの世界だ!高台から海岸へとバスは降りて行く。静かに打ち寄せる波は砂浜で透明な輝きを見せながら広がる…。バスは或るホテルの前で停った…と思った。が、何とホテルではなくタオルミナの鉄道駅だった!駅とは思えないアールデコ調の瀟洒な建物だ。昔ながらのリゾート地ならではの駅。地図でみるとカポ・タオルミナに近い。バスの運転手にカポ・タオルミナで停るか?と聞くと、うなずいた。これはラッキーなこと!しかし同時に、このホテルには颯爽と高級車で乗りつけたかったなぁ…などと身に添具わぬことを思ったのでもあった(笑)。

 何と言っても、あの海を見下ろすレストランで食事をするのだ!と、ミーハー心いっぱいの私だから、もちろん昼食の時間は一番乗り(笑)。ホテルのエレベーターで「M」(Mare)に降りる。洞窟を通って行くと視界が開けて、海を望むレストランに出る。すぐ側にはプールがある。映画でジャックとエンツォが酔って潜り、溺れそうになったプールだ(笑)。

 海が正面に見える席に案内された。映画で見たワイルドさは無く、エレガントなレストランになっていた。撮影時からずいぶん年月も経っているし…。メニューは意外にも正統派で、あまり選択の余地も無い。アンティパストはサーモンのマリネ。プリモは胃の具合を考えてバジリコのシチリア風スパゲッティ。セコンドはまぐろのグリル。ワインはCORVOの白のハーフサイズを選んだ。視界一面に広がる青い空と海を見ながらの食事は、ワインの酔いとともに至福へと誘う。食事を終え、よい気持ちでホテルの部屋に戻るや、ベッドの上にバタン…。結局、いつものパターンで寝てしまう(爆)。
エレベーターを降り、洞窟を通って.... 洞窟を出ると...(プール側より撮影) レストランからイオニア海を望む
  
サーモン・マリネ バジリコ・シチリア風スパゲッティ マグロのグリル


 で、えっ?!目が醒めたのは午後4時10分前!!慌てて出かける用意をする(汗)。タオルミナの街までのバスは、ホテル前を4時通過予定なのだ。走りながらホテルの前の道路に出ると、本当に丁度のタイミングでバスが来た。一安心…。運転手に「テアトロ・グレコに行きたい」と告げる。やはり古代ギリシア劇場跡は見ておかないとね。ところがバスプールで降ろされてしまった。運転手が道を指差す。テアトロ・グレコへの行き方を教わった通りに歩いて行くと…なんだぁ…結局、タオルミナの中心街近にあることがわかった。


メッシーナ門
   タオルミナの街の入り口にあるメッシーナ門をくぐり抜け、次ぎの道路を左に折れる。人々の流れに逆らうように劇場跡への道を行くと…何と鉄柵の扉に閉ざされているではないか?!(・・;)。表示板を見ると…午後4時までぇ?!今は午後4時30分!! ふと、右隣を見ると、五つ星を掲げたホテルの門があり、そこのホテルの男性が「表示通り」と看板を指差し肩をすくめた。それであきらめるような私では断じてない(爆)。鉄扉をがちゃがちゃ言わせてみる。力ずく?(笑)

 取りあえず、デジカメを覗かせて写真を撮ろうとしていたら、帰り足の観光客が扉に向って下りてきた。入口受付のおじさんが扉を開けるためにこちらへやってくる。チャンス!!
「1分で良いので見せて欲しいのです!」と、必死の眼差しでお願いする。と、扉を開けて観光客を帰しながら、仕方が無さそうに手招きする。わぉ!やった!!おじさん、ありがとう!!!)^o^( だから、イタリアって大好きなんだわ〜(笑)


 息せきって劇場跡への道を駆け上る。通路を抜けると、突然視界が開けた!広々とした古代ギリシア劇場の客席へと出たのだ。舞台跡の後ろには、素晴らしくも噴煙をたなびかせるエトナ山がなだらかな稜線をみせていた….。夕暮れ色に染まろうとしている空を背景に、エトナ山を望むこの景色はみごとだ。カメラを構える位置を探していたら、まだ残っていたドイツ人と思われる夫婦連れの夫君の方が、「ここが最高」と手招きしてくれた。側に近寄ると、本当にその席からは素晴らしいカメラ・アングルになる。溜息をつきながらシャッターボタンを押す。劇場跡は静寂な空気に包まれていた…。ドイツ人夫妻はまだ余韻を楽しみたいとエトナ山を眺めている。受付けのおじさんが気になった私は、夫妻にお礼を言うと入口へと向かった…。おじさんは入場料は要らないと言ってくれた。感謝しながら古代ギリシア劇場跡を出る。

    
古代ギリシア劇場跡(テアトロ・グレコ) 噴煙たなびくエトナ火山を背に...

 あまりに焦ったので喉が渇いている。白ワインの酔いもまだ残っているようだ(^^;;。街中の店でミネラル・ウォーターを買い、その場でごくごく飲む。それでも、メッシーナ門付近でジェラート店を見つけたら、また食べたくなった(笑)。カップに二種類入れてもらう。でも、早くホテルに帰りたいし…。ジェラートのカップを持ったまま、タクシー乗り場に向った。運転手に恐る恐る車内持ち込みをお願いしてみたら、ふふっ、OKですって(笑)。ということで、ジェラートを食べながら、曲がった道をくねくねと、岬にあるホテルに向ったのだった。

 で、ホテルに戻ったものの、あのボリュームいっぱいの昼食のおかげで、お腹も空かない(笑)。また、ベッドにごろり(^^;;。真夜中に目が醒めるまで寝ておりました…とさ(爆)。

2002/11/14 UP

<第3日目>

 カポ・タオルミナは4つ星だ。5つ星の豪華さや格調高さはないけれど、居心地の良さを感じるホテルだ。各部屋は海に面したバルコニーを持っている。それにバスルームは奥に集中し、また別にパウダールームまである。ヴィジター用トイレのハンドタオルが使い捨てになっているのも気が利いていた。
 朝食はメインの方の広々としたダイニング・レストランで(^^)。海を見下ろす見晴らしのよいバルコニーの席を取った。海の向うにはエトナ山が見える。洞窟レストランとは別方向の海に臨んでいるようだ。朝の気持ちよい風を感じながら優雅な朝食を楽しむ。う〜ん、久しぶりの贅沢だわ〜)^o^( デジカメを持っていなかったので、その爽やかなバルコニーからの眺めをUPできない(^^;。
 
 9時にはメッシーナに向って出発したいと思っていた。というのは、州立メッシーナ美術館はHPにも「地球の歩き方」にも休日が載っていず、もしかしたら月曜日も開館しているのではないかという望みがあったからだ。他の美術館は月曜休館が載っていたのだが…。タオルミナからメッシーナへは列車移動にした。タクシーでタオルミナ駅に向う。

 タオルミナ駅は本当に優雅な建物だ。アールデコ調のステンドグラスや木彫りが奥ゆかしく、懐かしくもゴージャスな雰囲気を今に残している。それに、昔ながらの1等・2等待合室も残っている。が、現在は1等が閉鎖、2等だけが使われている。メッシーナ行きの列車の発車時刻まで30分以上もあったので、待合室で待っていると、何と日本人女性二人連れがやってきた。彼女たちはメッシーナで乗り換えてパレルモに向うと言う。なんだか心強い(^^)。コンパートメントは違うが、同じ1等に乗りこんだ(1等と言っても日本のJRと較べたらかなり安価なのだ)。列車は特急ICなのでメッシーナまでは40分ほど。到着後、メッシーナ駅で二人と別れる。

 メッシーナ駅にはエスカレーターもエレベーターもない。重い荷物を持って階段を上り下りしなければならなかった。虚弱な私には、とほほ….だった(^^;。ナポリには赤帽がいたんだけどねぇ…。タクシーでホテルに向う。ホテルはメッシーナ海峡に面していた。部屋の窓から見える対岸は、もしかしてイタリア本土ではなかっただろうか?
 


ホテルの部屋から見えるメッシーナ海峡



メッシーナのドゥオモ
   部屋に荷物を置くと、タクシーですぐ州立メッシーナ美術館へと向った。しかし….門が閉じている!やっぱり月曜日は休みだったのだっ!! HPも本も全くあてにできないのだから…(>_<)。運転手さんに「明日行けば良いのだから…」と慰められ、またホテルへと戻った…。仕方が無いので、メッシーナの街見物をする。

 地図を見ると、聖フランチェスコ・ダッシジ教会がホテルの近くだと知りチェックに走ったのだが、やはり門は閉じていた。月曜日だからなのだろうか?と、明日また行く事にする。そーすると、やっぱりドゥモ見物しかないだろうなぁ…と暇にまかせて歩き始めた。オペラ座(今日は演奏が無いようだ)、市庁舎を眺めながら、ドゥオモ広場へと向う。市庁舎前の庭には南洋の植物が多く見られ、ハイビスカスや紅色の可憐な秋薔薇も咲いていた。

 近くのバールで買ったパンニーニとミネラルウォーターを持って、広場のベンチで昼食。濃い青空が広がる好天の下、もう暑いくらい。夏場のように半袖・サングラスとなる。紫外線も恐ろしい(笑)。でも、このドゥオモは新しめで風情をあまり感じない(^_^;)

 で、その後は月曜日で閑散とした街中を見ながら駅へと向う。明日のシラクサへの列車移動の切符を確保したいと思った。美術館見学の予定が狂ったので、午後3時過ぎの特急にするしかなさそうだった。駅はそれほど遠くではない。IC・プリマクラッセのチケットを購入。ところが、ホテルに戻ってから、座席指定をしていなかったことに気付き、再び駅に…(^^;;。

 もう、その時間になると街中の店も開き始めていた。ウィンドウを眺めながら駅に向う途中で、クリスマス飾りが眩しいおしゃれなインテリア・ショップを発見。ふらふらと吸い寄せられるように入ってしまう(笑)。キッチン用品やバス用品、リネン類もおしゃれ。若者向けで値段もリーズナブル。FRETTEのシックさとは違う、こじゃれた感じだ。このお店で友人や職場へのお土産を調達する。実は大通りで目ざとくFRETTEを見つけたのだが、店は残念ながら閉じていた。

 駅で指定をとった帰り道、突然雨が降りだした。飛び石のように雨宿りしながらホテルへと向ったのだが、雨脚は更に強くなってきた。途方にくれていた目が、やけに派手な店の明かりに気がついた。何とインターネット・カフェ!(^^)v。お久でPCに触れそうだ。早速自分のサイトに接続。やはり文字化けしている。ロゴや英文字は見えるのだけどね。自分のBBCにカキコするのもヘンな感じ。英語がうまく出てこない…。横文字苦手の文章はちゃんとしてただろうか?焦りながら書いたので、ブロークンは許してね(^^;;;

 雨に濡れて、すっかり風邪をひきそうになり、ホテルのバスで温まると、早々にベッドに入ったのであった。明日は早起き!(いつも時差ぼけで早起き!(笑))

2002/11/16 UP


<第4日目>

 ホテルのチェックアウト時間は午後2時だというので、安心して荷物を置いたまま「シチリア州立メッシーナ美術館」に向う。今日は朝から雨。メッシーナ海峡も灰色に煙っていた。
 昨日も行った(笑)美術館には開館の5分前に到着。当然、一番乗り(^^;。門入口で美術館のオニイさんから「まだだよ」と声をかけられる。美術館の庭を散策しながら、9時きっかりに受付けに行く。入場券を買いながら、美術館ショップがあるかを尋ねると、無いと言う。あるのは、シチリア州立の6美術館のカタログチラシがセットになったものだけ。それに、英語版は売りきれ(>_<)。仕方なくイタリア語版を買う。中に英語表示も書いてあるからと慰められた(^^;。

 順路はギリシア・ローマ彫刻の部屋から。心は急くものの、やはりちゃんと観て行く。で、ちょっと大きな部屋に入ると、アントネッロ・ダ・メッシーナのコーナーがある。確かに絶品。しかし肝心の法王グレゴリオ世が北米出張中!(>_<)。写真だけが飾られている。あんまりだよね〜。彼のキリスト像に惹かれる。ここの美術館はフラッシュを焚かなければ撮影OKのようだった。すかさずデジカメ使用。これは鑑賞記でUP予定。
 そして、ようやくバロックの雰囲気がする薄暗い部屋へ。シチリアのCaravaggeschi達の作品が壁を飾っていた。そして次ぎは…ありました!まず、「羊飼いの礼拝」そして「ラザロの蘇生」。ふたつとも例のスポットライトに照らされている。ここからは「メッシーナ鑑賞記」に話を譲ろう(笑)。

 そりゃあ、あまり熱心に貼り付いて観ているものだから、館員のオニイさんが興味を持ったようだった。というか、やはり日本人は珍しいのか、怪しいのか(笑)。「どこから来たの?」「日本から」「東京?」「東京の近く(おいおい…)」「絵を描いてるの」「いいえ」「美術館員?」「いいえ」…などと(笑)。絵を観て歩く私の後からづーっとついてきて、親切にも色々説明をしてくれた。イタリア語で(-_-;)。もう、一人で観たかった(..)。はい、ここの美術館の方々はホスピタリティに溢れていらっしゃる方々ばかりでした。はーっ(溜息)。


2002/11/30 UP


まだまだ続きます(^^ゞ

戻る


  
J&B
MADD
SICI