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 ローマ市内見聞記 ―

◆ ローマ市内見聞記

   ローマでのCARAVAGGIOはマダマ館(マダーマ宮殿)に住んでいたデル・モンテ枢機卿の元に庇護を受け暮らしていた。地図を見てわかるように、「聖マタイのお召し」で名を挙げたフランチェージ教会はすぐ側であり、その仕事も枢機卿のお声掛かりによるものだ。また、そのすぐ近くには「ロレートの聖母」のアゴスティーノ教会もある。ナヴォーナ広場にはCARAVAGGIOの愛人といわれるレナが店(屋台?)を出していたというし、'98年、この辺りを集中的に歩きながら画家の面影をたどってみた。
ローマ マダマ館(マダーマ宮殿)周辺

 

<マダマ館>
 1998年、マダマ館の正面には青地に星が円形に並ぶEUの旗がはためいていた。元々はフェレンツェのメディチ家の宮殿だったはずで、現在も公館として使われているのだろうか?中の様子を見たいと思い玄関を入りかけるが、ごつい警備のおじさんが立っていてあきらめた。何気に紛れ込みたかったのだが、悲しい事にいかにも日本人観光客風の私では目立ち過ぎる。それでも広い敷地をぐるっと一巡りし、1階の窓越しから中の様子を伺ってみた。
 マダマ館は沢山の部屋に仕切られており、部屋の中は意外にもモダンでオシャレなオフィスになっていてPCなどが垣間見れた。外観は当時そのままでも、オフィスビルとしての機能を持つ現役(?)の館からは当時の面影を探ることは容易ではなさそうだ。一区画を占拠してしまうほどの広大な館なので、部屋数もかなりの数にのぼるはずだ。画家は何階のどの部屋に寄寓していたのだろうか?? 思い切って尋ねてみれば良かった(--;)
 ちなみに、当時の文化人でありCARAVAGGIOのパトロンとしても有名なヴィンセント・ジュスティニアーニ侯爵もすぐご近所の館に住んでいたようで(どの館かわからない)、更に面白いことは「果物籠」の所有者であったボッロメーオ枢機卿(ミラノ司教)は侯爵の館に住んでいたという。デル・モンテ人脈と言うべきか、この近辺にはCARAVAGGIO縁の人達が集まっており、確かに画家は狭い世間で暮らしていたと言える。
 
<サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会>
 マダマ館のほとんど隣にあるのが「マタイのお召し」で有名なフランチェージ教会だ。名前の通りフランス系の教会である。一時滞っていたコンタレッリ家の礼拝堂を飾る仕事を、デル・モンテ枢機卿がコネという政治的手腕でCARAVAGGIOのものにしたようだ(笑)。その仕事を画家は見事に成功させ、彼の名は一躍ローマ中に広まった。
 実は、フランチェージ教会には2度訪れている。最初の訪問時「聖マタイと天使」が貸し出し中だったので、'98年に再び来てみたのである。一度目の時は入場者もまばらで、コインを何度も入れながら、ゆっくりと左の「お召し」と右の「聖マタイの殉教」を眺める事ができた。気迫のこもった作品である。「お召し」ではお金を数える人々の猥雑さと戸口に立つイエスとパウロの聖なる静けさが対比されて緊張感を感じる。窓からの注し込む光がイエスを照らし、彼の指差す方向に徴税人マタイ(レビ)がいる。指差されたマタイは驚いて「私?」と自分を指差す。マタイ召命の劇的なシーンである。光の効果も抜群である。まぁ、イエスの指とマタイの指に、どうしてもシスティーナ礼拝堂の「天地創造」を思い浮かべてしまうが(^^;。
 右の「殉教」は聖マタイの殺害シーンが実にドラマチックな構成で描かれている。殺害者の緊迫した表情、驚き逃げ惑う人々、そして振向きながらその現場を注視する画家本人。礼拝堂の柵からは画家の自画像を良く見ることはできない(;_;)。それにしても群集を描く構図といい、実に劇的な絵である。この絵の場合、主役の聖マタイよりも殺害者に目を奪われる。しなやかな若者が今剣を持ち老いたマタイを刺し殺そうとしている。そしてその表情...。画家が「メデューサ」で試みた人間の表情の研究は作品を盛り上げる。
 さて、2度目の訪問時は何とイタリアの修学旅行シーズンと重なってしまい、子供達の団体に遭遇(^^;。ちゃんと先生の説明を聞いている様子は可愛いものだ。CARAVAGGIOの絵の価値が着実にイタリアの子供達に浸透して行くのを垣間見たような気がした。しかしイタリアでは有名でも日本における知名度がイマイチなのが寂しい。さて、先生の説明がなかなか終わらない。私と同じように絵を見に来た観光客もうろうろ(笑)。で、終わりそうになったら、な・なんと別のお子様ご一行が(爆)。やれやれ、修学旅行シーズンの京都と同じだ。まぁ、そういう訳で、「聖マタイと天使」は遠目から眺めるだけで終わってしまったのだ(-_-;)。
                                               2001/04/30 UP
                          

続きます(^^;

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