Impression
―独断と偏見―


CARAVAGGIOは傑出した静物画家でもある



 2002年春のReportを書いた後、ロベルト・ロンギの「カラヴァッジョ問題―その先駆者たち―」で意外な1行を目にした。ロンドンの『エマオの晩餐』の画布の裏には「125 カラヴァッジョによる果物と水差し」と記銘されていると...。もしかしたら、マッティ家の財産目録の作成過程で記された可能性もある。しかし、この記述はこの作品に傑出した静物画家としての実力が余すところ無く表現されており、当時の人々にもその卓越した描写力に畏敬の念を抱いたに違いないことを証明する。

 主題について問いただしながら画家をけしかけてみたまえ。
きっと「聖パウロの回心を口実にポポロ聖堂に馬を描いたし、エマオの夕食をだしに果物を描いた」と答えるだろう。
(ロベルト・ロンギ)
 

2003/03/01 追記

Report「ロンドン波瀾万丈記」より抜粋

エマオの晩餐

「果物籠」特別企画
 CARAVAGGIOは、ロンドンの「エマオの晩餐」において、彼の静物画描写の力量を余すことなく示している。ある意味その過剰さは画家の気負いの現われとも思える。
 テーブルの上のガラス器と液体(白ワイン?)の質感をまず見て欲しい。光はガラスを透しテーブルにその翳を映す。写実描写のなんとリアルなこと!

 そして、テーブルの端に置かれた果物籠。痛んだ果物は人類の罪を、石榴は罪に打ち勝つキリストを表わすようだ。が、寓意はともかく、その自然描写の巧みさ!
 画家のパトロンであったヴィンセント・ジュスティニアーニ侯は「絵画に関する書簡」においてCARAVAGGIOの基本的な芸術信条に触れている。「彼にとって、優れた花の絵を描くことは、優れた人物画を描くのと同じ能力を要する」と...。
 なお、CARAVAGGIOはこの作品以降、静物画を作品中に描き込むことをしていない。

(2002/08/15 記)


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